概要

英国原子力公社(UKAEA)は、核融合研究の推進で重要な役割を担っています。その一環として、Andrew Davis博士が率いるUKAEAのAdvanced Engineering and Simulationグループは、実物大のトカマクモデルで物理現象をシミュレーションしようとしていました。この取り組みでは、4,000部品からなるCADアセンブリを、Coreform Cubitを使って解析用に準備する必要がありました。

HPC計算エンジニアのBill Ellis氏は、Coreform Cubitを活用してメッシュ生成と形状準備の課題を解決し、このプロジェクトを主導しました。本事例では、Coreform Cubitを使い始めて短期間のうちに、高忠実度シミュレーションへ向けたアセンブリの準備とメッシュ生成という「途方もない作業」にどのように取り組んだかを紹介します。

課題

チームは大きく二つの課題に直面しました。

  1. シミュレーション対応モデルの不足: UKAEAにはMAST-U(Mega Ampere Spherical Tokamak Upgrade)のCADモデルがありましたが、シミュレーションに必要な構造支持部材が不足していました。Bill氏は次のように説明します。 「当時の問題は、シミュレーションに使える実物大のトカマクモデルがなかったことです。」
  2. CADアセンブリの複雑さ: 数千個の部品からなるモデルでは、インプリント、マージ、メッシュ生成が難しくなります。形状の位置ずれや小さな重なりはメッシュの整合性を損ない、シミュレーション精度にも影響します。Bill氏は次のように述べています。 "It’s like eating an elephant: a monumental task that you break down into small bites."
解決策

これらの課題を解決するため、Bill氏はCoreform Cubitの高度な形状処理機能とスクリプト機能を活用し、手順を整理して段階的に作業を進めました。

    ステップ1:CADモデルの強化
    まず、不足していた構造支持部材を補いました。UKAEAの文書管理システムにあるCADファイルや図面を使って必要な部品を追加し、構造として成立するモデルに整えました。トカマクの設計に詳しいチームメンバーとの協力も重要でした。
    ステップ2:形状のクリーンアップ

    メッシュ生成の前に形状を整えました。Coreform Cubitのヒーリング機能でCADカーネル間の不整合に起因する問題を修正し、ボルト穴や配線など解析に不要な細部を削除して、要素数を抑えながらメッシュ生成を効率化しました。

    ステップ3:インプリントとマージ

    隣接部品が共通のトポロジーを持つよう、インプリントとマージを行うことが重要でした。Bill氏はモデルを小さなグループに分割し、処理を単純化するとともに、問題が起きた際の調査範囲を限定しました。また、形状の小さな重なりにはトレラント・インプリントを使用しました。

    "With large CAD assemblies, you’ll inevitably run into minor overlaps. Standard imprinting can struggle with geometry that has slight overlaps. Tolerant imprinting allows you to imprint within a certain tolerance."

    ステップ4:PythonとC++によるスクリプト化

    モデルの複雑さに対応するため、Bill氏はGUI中心の操作からスクリプトへ移行し、効率と再現性を高めました。PythonとC++を使って、形状の選択やグループ化などの繰り返し作業を自動化し、進捗を追跡できるようバージョン管理も導入しました。

    ステップ5:メッシュ生成と検証

    形状のインプリントとマージを終えた後、アセンブリ全体に高品質な四面体メッシュを生成しました。Cubitのメッシュ品質指標で要素品質を評価し、必要な箇所にはメッシュスムージングを適用しました。重力解析や圧力差を用いた検証を行い、メッシュの妥当性を確認しました。