
「Coreform Cubitは複雑なメッシュを生成する優れたソフトウェアです。分かりやすいGUI、使いやすいCAD機能、強力なメッシュ生成アルゴリズムの組み合わせが、私たちの研究に大きな価値をもたらしています。」
Nils Kielian
研究助手
背景
Theoretical Electrical Engineering and Numerical Field Calculation(TET)は、ドイツ・ハンブルクのHelmut Schmidt University(ドイツ連邦軍大学)にある研究グループです。計算電磁気学を中心に、磁気・力学連成などのマルチフィジックス解析、電磁試験環境の数値最適化、生体電磁気学、機械学習、人工知能などを研究しています。この研究環境ではMATLAB上で高効率な有限要素法(FEM)ソフトウェアパッケージを開発しており、必要なメッシュを作成するツールとしてCoreform Cubitを主に使用しています。
Coreform Cubitは、多くの機能が直感的に理解でき、詳細なドキュメントも用意されているため、電気工学を学ぶ学生が卒業論文や学位論文の研究で日常的に使用しています。強力なスクリプト機能を使ってパラメータ化した技術装置のメッシュを生成できることも、大学院教育の重要な要素となっています。
TETは、以下に紹介する電磁場に対する生体反応の解析をはじめ、多くの研究課題の数値シミュレーション・ワークフローでCoreform Cubitを使用しています。
課題
日常生活で使われる電気機器が増えるにつれ、人が電磁場にさらされる機会も増えています。電磁場への曝露が人体へ与える影響を理解するため、領域分割法と組み合わせたFEMベースのアルゴリズムを開発し、電磁場中の生体細胞の挙動をシミュレーションしました。
アルゴリズムは大きく三つの工程からなります。まず細胞モデルを作成してメッシュを生成し、ABAQUS形式で出力します。次に、そのメッシュをMATLABへ読み込み、モデル方程式を解きます。最後に計算結果を可視化します。
このアルゴリズムの難しさの一つは、生体細胞の中に電磁気的に重要な長さスケールが複数存在することです。一般的な細胞の直径は細胞膜の厚さの約1,000倍であり、複雑なマルチスケール問題になります。
解決策
図1: 単純化した細胞形状のモデル。
ほかのメッシュ生成ソフトウェアではメッシュ生成が難しかったモデルですが、
Coreform Cubitでは容易にメッシュ生成できました。
TETの研究者は、まず周囲領域との間を細胞膜で隔てた内部領域からなる単純化細胞形状を使用しました。周囲領域は通常、電解質で満たされています。図1下部の細胞膜拡大図から、メッシュ生成を難しくしているマルチスケール性が分かります。Coreform Cubitは、このモデルに問題なく適切なメッシュを生成できました。
このモデルのメッシュ生成に成功したことで、電磁場中にある生体細胞のシミュレーションと線量評価が可能になりました。ここでは、異なる電磁場周波数に対する比吸収率(SAR)を計算しました。SARは、電磁場へ曝露されたときに単位質量あたりが吸収するエネルギーの速度を表します。結果を図2に示します。
図2: 異なる周波数で計算した比吸収率(SAR、W/kg)。作用する電磁場の周波数が高いほど、細胞内部で吸収されるエネルギーが増え、温度上昇につながります。
まとめ
Helmut Schmidt UniversityのTheoretical Electrical Engineering and Numerical Field Calculationチームは、難しい生体電気シミュレーションを行うための強力なメッシュ生成ツールとしてCoreform Cubitを選択しました。使いやすさ、強力なスクリプト機能、効率的なモデル作成、高品質なメッシュにより、Coreform Cubitは研究グループの数値シミュレーション・ワークフローを支える重要なツールになっています。 PDFをダウンロード
