
「Coreform Cubitは、複雑な沈み込み帯形状の構築、弾性・粘弾性シミュレーション向け高品質メッシュの生成、パラメータ化された2D・3Dモデル群の自動作成を、1つのスクリプト駆動環境で実現します。これにより、地震サイクル研究を効率的かつ再現可能に進められます。」
Xialong Zhang
地震サイクル変形・地震発生機構研究グループ
中国科学院 地質・地球物理研究所
背景
地震サイクル変形・地震発生機構研究グループは、 中国科学院 地質・地球物理研究所 (IGGCAS)に所属し、有限要素モデリングを用いて沈み込み帯の力学挙動を研究しています。研究対象は、地震サイクル変形、地殻・マントルのレオロジー、巨大プレート境界地震を支配する物理過程です。沈み込み帯では地球最大級の地震が発生する一方、スロースリップや余効すべりのような非地震性変形も生じます。これらを理解することは、地震ハザード評価や長期的なプレート運動の理解に重要です。有限要素法を用いることで、複雑な地質構造や現実的な地形を数値モデルへ取り込めます。
課題
従来の解析的な転位モデルは地震時すべりを高速に推定できますが、一般に均質な弾性半空間を仮定するため、現実的な地形や沈み込むスラブの曲面形状を十分に取り込めません。有限要素モデリングはこの制約を克服できますが、曲面状のプレート境界や詳細地形を含む地質モデルの構築には時間と技術を要します。また、多くの研究では構造パラメータを変えたモデル群が必要です。これらを手作業で作るのは非効率で再現性も低いため、複雑な地質形状の構築、高品質メッシュ生成、複数のパラメータ化モデル作成を自動化できる環境が必要でした。
解決方法
IGGCASチームはCoreform Cubitを用いて、科学的な問いに応じた2次元および3次元の有限要素モデルを構築しています。
2次元パラメトリックモデリング
沈み込み帯構造の違いが地震間変形へ与える影響を調べるため、Coreform Cubitで2次元断面モデルを構築しています。地殻厚、マントルリソスフェア厚、スラブ傾斜角、スラブ厚などのパラメータが地震サイクル中の変形へどのように影響するかを評価します。
この研究ではCubitのPythonスクリプティング機能が中核を担います。スクリプトで形状や材料層を自動調整し、メッシュを再生成し、構造パラメータの異なる多数のモデルを作成します。これにより形状条件を迅速に比較でき、弾性・粘弾性シミュレーションへ一貫した入力を提供しながら、沈み込み帯構造がひずみの蓄積と解放へ与える影響を明らかにできます。
図1:パラメータ研究に用いた2次元沈み込み帯モデル。Coreform Cubitのスクリプティングにより、スラブ傾斜角や層厚などの幾何パラメータを迅速に変更できます。
地震研究のための3次元モデリング
実際の沈み込み帯における地震破壊・変形研究では、高解像度地形、3次元スラブ形状、主要な地殻・マントル境界を1つの計算領域へ統合した3次元地質モデルをCubitで構築しています。この機能は、2024年と2025年に大規模なプレート境界地震が発生した日本南西部の日向灘地域の研究で重要です。地域の海底地形と沈み込むフィリピン海プレートの形状を統合し、破壊特性評価やPyLithによる弾性・粘弾性シミュレーションの現実的な基盤を構築します。
図2:Coreform Cubitで作成した日向灘沈み込み帯の3次元有限要素モデル。スラブ形状、地表地形、メッシュ構造を示しています。
まとめ
Coreform Cubitの直感的なワークフローとスクリプティング機能により、幾何パラメータを迅速に調整し、複数のモデル条件を自動生成できます。また、地震変形研究に必要な現実的な地質形状を構築できるため、パラメトリックな2Dモデルから詳細な3Dテクトニクス解析まで、一貫したモデリング基盤として利用できます。
