背景

Carollo Engineers は、1933年以来、水に関するエンジニアリングだけに専門特化してきた米国最大規模の企業です。Carollo Research Groupは、全米各地の拠点に所属するエンジニア、科学者、研究者からなる多様なチームです。基礎研究と応用研究を実際の設計へつなぎ、顧客にとって実用的で革新的、かつ信頼性の高い水処理ソリューションを提供しています。

Carolloは、計算流体力学(CFD)を水理設計やプロセス設計の重要なツールとして活用してきた業界の先駆者で、30年以上にわたり日常業務へ適用しています。ポンプ場の水理改善、消毒工程の最適化、沈殿槽のモデル化から、水処理施設全体の運転シミュレーションまで、幅広い案件でCFDを使用しています。

課題

正確なCFDシミュレーションを行うため、Carolloはまず形状を高品質なメッシュで表現し、そのメッシュをANSYS Fluentを含む各種CFDソルバーへ渡します。数十年前にCFD利用を始めた当初は、実績のあるGAMBITをメッシュ生成ソフトウェアとして採用していました。2015年にCFDメッシュ生成環境を見直し、Coreform Cubitへ移行することを決めました。

解決策

CarolloがCFD用メッシュ生成にCoreform Cubitを選んだ主な理由は次のとおりです。

  • 使い慣れた操作性を保ちながら機能を強化:Coreform Cubitは高度なメッシュ生成機能を追加しつつ、GAMBITと似たワークフローを持っています。実際、GAMBITのコードはCubitから派生しています。そのためCarolloは、利用者の学習負担を抑えながらメッシュ生成能力を向上できました。

  • 使いやすさと一貫した作業:Coreform Cubitは、CADデータの準備からメッシュ生成までを効率化する包括的なツール群を提供します。3D ACIS Modeler(ACIS)形状カーネルを備え、排水処理システムの解析形状をゼロから作成し、そのまま同じソフトウェアでメッシュを生成できます。Carolloでは、用途によってはCoreform Cubitの境界層メッシュ機能がGAMBITより優れているとも評価しています。

  • 幅広いソルバーへの対応:Coreform Cubitは独立したメッシャー兼プリプロセッサで、40種類を超えるソルバーと連携できます。Carolloは将来、異なるCFDソルバーを柔軟に検討できます。

  • 適正な価格:Coreform Cubitは、市場のほかの製品と比べても魅力的で競争力の高い価格設定です。

2015年の移行以来、Coreform CubitはCarolloの日常的なワークフローの一部となり、利用者の安心感を高めるとともに、時間とコストの節約に貢献しています。以下の図では、排水処理施設で流れとシステム全体の効率を最適化するため、CarolloがCoreform Cubitで高精度なメッシュを準備する例を示します。

図1: CarolloがCoreform Cubitで作成した、排水処理施設の開水路型紫外線(UV)消毒システムのCFDモデル形状です。Carolloでは、CADデータを読み込む代わりに、Coreform Cubitの形状作成機能を使って解析形状を直接作成し、その後メッシュを生成する場合も多くあります。

図2: 流入口の整流用バッフル板付近をCoreform Cubitでメッシュ化した例です。バッフル板は自動四面体メッシュで素早く正確に形状を捉え、周囲の水路は効率を重視して半自動六面体メッシュで表現しています。バッフル板には約1インチの小孔が多数あり、より大きな水路の中でこれらを正確に表現しないと、システムの水理特性を適切に計算できません。

図3: Coreform Cubitで作成したUVランプ群付近のメッシュです。システムの主要な形状を六面体要素とプリズム要素で表現することで、高品質を保ちながら全体のメッシュ規模を抑え、計算効率の高い解析を実現しています。

図4: UV水路システムの水面標高の全体像です。メッシュはCoreform Cubitで作成し、ANSYS Fluentでシミュレーションしました。Parshallフリュームとバッフル板を通過する自由表面の急変流を捉えており、どちらもUVランプ群を通る流れの水理特性に影響します。

図5: 元の設計と、UVランプ群へ流入する速度の均一性を改善した設計変更案について、速度分布を比較したものです。UVランプ群へ入る速度場がより均一になると、水中の病原体へ照射されるUV線量も均一になり、システム全体の効率が向上します。

Carolloの研究発表

Carollo Research Groupは、水処理施設のCFD解析に関するベストプラクティスを確立するため、研究成果を継続的に発表しています。以下の出版物を含む複数の研究で、Coreform Cubitを使ってメッシュを生成しています。 Wicklein, E., Hart, V., Carter, E., Haight, R., Oligo, B., and K. Watson. 2019. CFD Modeling Optimizes Water Treatment Plant Performance. JOURNAL AWWA 111:7, 40-45. Wicklein, E., Wright, B., Murthy, S., Bott, C., Angelotti, B., De Clippeleir, H., deBarbadillo, C., and T. Rauch-Williams. “Getting to the Bottom of Granular Sludge Separation with CFD Modeling”. Proceedings of WEF Innovations in Process Engineering 2021, A Virtual Event. June 9-10 & 15-16, 2021. Wicklein, E. Marts, M., McCaulley, W., Luna, B., and N. Beaton. “CFD Modeling Improves Clearwell Baffle Factor By Over 80% Of Estimate For Colorado Treatment Plant Upgrade.” Proceedings of the AWWA Annual Conference and Exposition, Denver Colorado, June 9-12, 2019. Wright, H., Salveson, A., and Wicklein, E. “Non-steady State UV AOP - Implications for Design and Operation of Potable Reuse Systems.” Poster presented at the 2018 American Water Works Annual Conference and Exposition, Las Vegas, NV, June 11-14, 2018. PDFをダウンロード