ジオメトリのクリーンアップ
メッシングソフトウェアでは、さまざまなジオメトリ問題を扱う必要があります。その多くはファイル変換に起因する問題として整理できます。通常、メッシングソフトウェアで使用するジオメトリはそこで作成されたものではなく、各種CADパッケージで作成されています。CADからIGES、STEP、SATなどメッシングソフトウェアが受け入れる中間形式へ変換する際に、ジオメトリ表現の不整合が生じることがあります。CAD側とメッシング側で同じファイル形式をサポートしていない場合には、さらに別の変換が必要となり、追加の問題が発生する可能性があります。
ファイル変換に伴う別の問題としてToleranceがあります。あるCADパッケージでは2点の距離が1e-3単位以内なら一致とみなす一方、別のCADでは1e-6を使用する場合があります。メッシングソフトウェアのToleranceがCADパッケージより厳しいと、この差によって後続のジオメトリ修正操作で意図せずSliver形状が生成され、処理が困難になることがあります。また、このToleranceの不一致はAssembly内の隣接Volume間の位置ずれを生じさせ、一致ジオメトリを共有してConformal Meshを生成する妨げにもなります。
CADパッケージでユーザーが生じさせたモデリング誤差も、メッシングソフトウェア側で修正が必要となる問題の一つです。CADでジオメトリが正しく作成されていないと、Part同士が重なったり、本来接触すべきPart間に小さなGapが生じたりします。こうした問題は、CADへ戻って修正することが現実的でない段階でメッシングソフトウェア側から見つかることも多いため、メッシングソフトウェアには修正機能が必要です。
Geometry Cleanup問題へのさまざまな手法が文献で提案されていますが、多くは1つ以上のトポロジ問題を検出した後、ジオメトリへ自動的に処理を適用するものです。多くのケースで有効ですが、自動化を維持しつつCAD問題の解決方法をユーザーが制御する機能は十分でないことがあります。ITEM環境では、こうした一般的な問題を診断するツールと、問題を修正するためにユーザーが選択できる解決策の一覧を提供します。
メッシュ生成の観点では、Solid Model内でメッシング前に注意深く検討・対処すべき形状は、一般に次の4分類に整理できます。
- 不適切なジオメトリ表現 CAD表現間の変換誤差により、ジオメトリの解釈に誤りや差異が生じることがあります。問題の程度によっては完全でないジオメトリ表現でもメッシュ生成できる場合がありますが、多くの場合はメッシング前に解消しておくべきです。
- モデル内の小さな詳細形状 ジオメトリに小さな細部が存在し、それをそのままメッシュ化すると非常に小さい要素が生成され、要素数が過大になる場合があります。小さなCurveやSurfaceは、解析には不要な設計上の詳細形状や、CADモデル作成時の不適切な構築によって生じることがあります。いずれの場合も、メッシング前にこれらの形状を削除または修正することが重要です。
- メッシングスキームに適合するトポロジ Structured、Mapping、Sweepingなどのメッシングアルゴリズムでは、実行するためにVertex、Curve、Surfaceが特定の構成になっている必要があります。そのため、ジオメトリをメッシュ生成可能なトポロジへ分割する操作が必要になることがあります。一方、PavingやTet MeshなどのUnstructured手法では、このような分割を必要としません。
- AssemblyのConformal Topology PartのAssemblyでは、界面をまたいでConformal Mesh(つまり共通境界でNodeを共有するメッシュ)が必要になることがよくあります。Part同士を接続し、メッシング後に単一の連続メッシュとして表現するため、ImprintやMerge操作が必要になる場合があります。
問題の存在を認識し、上記4分類のそれぞれに対して適切な解決操作を選ぶには、多くの経験が必要です。ITEMは経験豊富なユーザーの代わりになるものではありませんが、潜在的な問題を検出し、検討可能な解決策を提示することで作業を支援します。